遺言書作成の実例:後妻との間の子に多く遺したい
遺言書の作成において、後妻との間の子に多くの財産を遺したいというケースでは、遺留分(法定相続人が法的に確保される最低限の相続分)に配慮しつつ、後妻や後妻との間の子に有利な相続分を設定する方法を考慮する必要があります。ここでは、実例を交えて、遺言書作成時に留意すべきポイントを詳述します。
遺言書における相続分の調整
後妻との間の子に多くの財産を遺したい場合、まずは相続分の設定を行います。しかし、法定相続人である前妻の子には遺留分が保障されているため、これを無視することはできません。遺留分とは、相続人が最低限受け取ることができる相続分であり、遺言書でその権利を不当に侵害すると、相続人が遺留分侵害額請求を行うことができます。
遺留分に配慮し、相続分を減らす方法
遺留分に配慮して、前妻との子(法定相続人)の相続分を減らし、後妻との子への相続分を多くする方法を考えます。具体的には、以下のように遺言書で指示をすることができます。
遺言書の文例(1)
「私の財産は、後妻〇〇及び後妻との間の子である〇〇に対し、私の総財産の〇分の〇を相続させる。前妻との間の子である〇〇には、法定相続分に基づき遺留分を確保するため、〇分の〇の相続分を与える。」
このように記載することで、前妻との子の遺留分を確保しつつ、後妻との間の子への遺産分配を増やすことができます。
遺言書の文例(2)
「私の財産のうち、後妻〇〇に対しては〇〇万円、後妻との間の子である〇〇には〇〇万円を相続させ、前妻との間の子である〇〇には、法定相続分に基づいて〇〇万円を相続させる。」
このように金額で具体的に指定する方法もありますが、相続財産の総額や分配割合を明確にした上で、遺言書を作成することが重要です。
遺言書における遺留分の具体的記載方法
相続分を減らすためには、遺言書において相続人に与える割合を明確に記載し、遺言の内容が合法であることを確保する必要があります。以下に示すように、遺言書には「遺留分に配慮する」という文言を記載し、適切な相続分を確保することが求められます。
遺言書の文例
「前妻との間の子〇〇は、遺留分を保障することを考慮し、その権利を侵害しないように相続分を設定する。後妻〇〇とその子〇〇に対しては、法定相続分を超えた遺産を相続させるが、前妻との子〇〇に配慮してその権利を認める。」
このように遺留分に配慮して遺言を作成することで、後妻と後妻との子に多く遺す一方で、前妻との子が不利益を被らないように配慮することができます。
遺言書作成時の注意点
遺言書を作成する際には、以下の点を特に注意することが重要です。
- 遺留分の確保:前妻との子には法定相続分に基づいた遺留分を確保する必要があります。
- 相続分の明確化:後妻や後妻との子に多く遺したい場合、その割合や金額を具体的に記載することが必要です。これにより、相続人間での不明確な争いを防ぐことができます。
- 遺言書の有効性を確保:遺言書が法的に有効であるためには、遺言書作成時に法的な要件(証人の署名や押印、日付の記載など)を満たす必要があります。また、内容が法律に違反しないよう、専門家に確認してもらうことをお勧めします。
相続人間の争いを避けるための工夫
後妻との子に多く遺す場合、前妻の子との間で相続分について争いが生じる可能性があります。そのため、遺言書においては可能な限り具体的に、遺産分割方法や金額を明確に記載し、相続人間の理解と納得を得やすくすることが重要です。
また、もし不安があれば、遺言書を作成する際に、公証役場において「公正証書遺言」を作成する方法もあります。これにより、遺言書の内容が法的に有効であることが確定し、相続人間の争いを防ぎやすくなります。
行政書士のサポート
遺言書の作成においては、法的な知識が必要です。特に遺留分に関する問題は複雑であるため、行政書士に依頼することをお勧めします。行政書士は遺言書の作成をサポートし、法的に適切な内容となるようアドバイスを行ってくれます。また、行政書士は遺言書の公正証書化の手続きもサポートしており、法的に有効な遺言書を作成するために必要な手続きを一貫してサポートしてくれます。
まとめ
後妻との間の子に多く遺したいという場合、遺言書には相続分の調整をしっかりと記載することが重要です。また、遺留分に配慮することで、前妻との子が遺言に対して遺留分侵害額請求を行わないようにすることができます。遺言書の内容を明確にし、法的に有効な遺言書を作成するために、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。