その家系図、大丈夫?行政書士が教える個人情報の取り扱い

家系図は情報の宝庫!個人情報を慎重に取り扱うべき理由

家系図は「情報の宝庫」ゆえに、慎重な配慮が求められます。

家系図の作成は、自分のルーツや家族の歴史を知るうえで非常に意義深い作業です。しかし、そこに含まれる情報は非常にセンシティブで、「個人情報の取り扱い」という重要な問題が伴います。近年、個人情報保護の意識が社会全体で高まっている中、家系図の作成にあたって注意すべきポイントを押さえておくことが、家族間のトラブルや法的リスクを避けるうえでも欠かせません。

ここでは、家系図作成における個人情報の問題について、行政書士の視点から詳しく解説していきます。


家系図作成の最大の問題点は「個人情報の取り扱い」

家系図の中には、生年月日・婚姻歴・本籍地・続柄など、個人情報とみなされる情報が多く含まれています。特に、存命中の親族や家族に関する情報は、個人情報保護法の対象となるため、勝手に他人に公開することは法的リスクを伴う場合があります。

一方で、すでに亡くなった方の情報は基本的に個人情報保護法の対象外とされていますが、注意すべき点があります。それは、「亡くなった方の情報が生きている家族のプライバシーに関係する場合」です。このようなケースでは、本人でなくても親族の気持ちを害するおそれがあり、家族間のトラブルにつながることもあります。


家系図作成の第一歩、家族の理解を得る

家系図の作成にあたって最も大切なのは、家族の理解と同意を得ることです。自分だけがルーツを知りたいと思っていても、他の家族は「知られたくない過去」や「他人に知られたくない個人情報」が含まれることに抵抗を感じるかもしれません。

具体的な対策

  • 家系図作成を始める前に、配偶者や親、兄弟姉妹に説明し、同意を得る。
  • 親戚に関する情報を載せたい場合も、できる限り連絡・確認する。
  • 将来的に第三者に見せる可能性がある場合は、使用目的を共有しておく。

家系図の中で避けるべき、親族の不都合な情報

家系図を作成していると、想定外の事実に出会うことがあります。例えば、「離婚歴」「非嫡出子」「家族内での養子縁組」など、家族の中ではタブーとされているような情報です。

たとえ記録としては事実であっても、それらをすべて家系図に反映することが適切とは限りません。

どこまで載せるかは「慎重に判断」

  • 明らかに家族が不快に思う可能性がある情報は、事実であっても省略・伏せ字にする。
  • 「誰が見ても傷つかない」内容で構成するよう配慮する。
  • 公開用と非公開用で2種類の家系図を作成するという方法もある。

家系図を他人に見せる前に、必ず家族の了承を

家系図を作成して「親戚に配布したい」「郷土資料館に寄贈したい」「SNSにアップしたい」と思う人も少なくありません。しかし、家族以外に家系図を見せる行為は、情報漏洩やプライバシーの侵害につながるおそれがあるため、慎重な対応が必要です。

注意が必要な場面

  • 業者に家系図作成を依頼する際に、親族の詳細情報を提出する場合
  • 印刷した家系図を親戚全員に郵送・配布する場合
  • ブログやSNSに家系図や戸籍画像を掲載する場合

対応策

  • 必ず家族や関係者の了解を取ってから開示する。
  • 氏名・生年月日などをイニシャル・伏せ字・加工して、見せる工夫を行う。
  • 家系図の共有範囲を明確にし、パスワード保護や限定公開にする。

業者選びで守るべき!家系図作成の個人情報保護

個人情報の観点から見ると、家系図の外注先選びにも注意が必要です。安価で気軽に依頼できる業者の中には、個人情報保護の意識が薄いところもあります。

業者選びのポイント

  • 行政書士など、守秘義務を負う有資格者が対応しているか
  • プライバシーポリシーや情報の管理体制が明記されているか
  • 過去の事例や口コミから、信頼できる実績があるか

行政書士は、国家資格者として法的知識を持ち、守秘義務に基づいた個人情報の取り扱いを徹底しています。安心して依頼できる専門家の一人です。


家系図=個人の歴史、取り扱いには細心の注意を

家系図を作成することは、自分自身のルーツをたどる意味だけでなく、家族の歴史を形として残す大切な作業です。だからこそ、扱う情報に慎重になることが求められます。個人情報の取り扱いに無頓着なまま家系図を作ってしまうと、後々、家族や親族との関係にヒビが入る原因にもなりかねません。

家族の理解を得て、不都合な情報には配慮し、第三者に見せるときは確認を取る。これらの基本を守ることで、安心して家系図を作成・共有することができます。
また、迷ったときは、個人情報と家系図作成の両方に詳しい行政書士に相談するのも一つの手です。