家系図づくりの第一歩!戸籍用語を行政書士がやさしく解説

戸籍の言葉って難しい?家系図作成のための用語解説

家系図を作成する際に最も重要なのは、戸籍に記載された情報を正確に理解することです。しかし、戸籍に関する用語には、耳慣れない専門用語や法律用語が多く、これらが理解を妨げることもあります。戸籍証明書の申請を行うためには、これらの専門用語を知り、正確に使いこなす必要があります。

ここでは、家系図作成における戸籍の専門用語を簡単に解説し、理解を深めてもらうためのポイントを説明します。


家系図入門!戸籍に出てくる基本用語を解説

まず最初に、家系図作成に不可欠な基本的な戸籍証明書の種類と、それに関連する用語を押さえましょう。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明)

戸籍謄本とは、戸籍に記載された全ての情報を記載した証明書です。
この証明書には、戸籍に登録されている全員の氏名や生年月日、親子関係、結婚歴、死亡歴などが含まれます。家系図を作成する際に最も基本となる書類で、家族全員の情報が網羅されているため、全体の系統を把握するためには欠かせません。

戸籍抄本(戸籍個人事項証明)

戸籍抄本とは、戸籍に記載された個人の情報を抜粋した証明書です。
具体的には、一部の個人情報(例えば、ある一人の生年月日や親子関係など)だけを記載したもので、その人に関する基本的な情報を証明するために使用されます。

一部事項証明

一部事項証明は、戸籍に記載されている特定の項目(例:結婚日や死亡日)だけを証明する書類です。
家系図作成時に必要な項目を絞り込んで取得することができ、特定の事実を証明したい場合に便利です。

現在戸籍(現行戸籍)

現在戸籍は、現在有効な戸籍を指します。
これは、現存する戸籍簿の情報をもとにしたもので、現在の家族構成や親子関係などが記録されています。家系図を作成する際には、現代の情報を基にするため、この「現在戸籍」を使用します。

除籍

除籍とは、ある人が戸籍から削除されることを意味します。
例えば、死亡した人は除籍され、婚姻や離婚によって戸籍が変更されることもあります。除籍された人物は、その後の家系図には登場しませんが、その前の情報は引き続き記録に残ります。


戸籍の昔ことば?古文書風な用語を解説します

戸籍には時折、現代では使われていないような古い用語が登場します。特に、改製原戸籍や家督相続などは、現代の戸籍システムが改められる前に使われていた言葉で、家系図を作成する際に重要です。以下に代表的な古い用語を解説します。

改製原戸籍(かいせいげんこせき)

改製原戸籍は、戸籍法が改正される前に作成されていた戸籍簿です。
1950年(昭和25年)の戸籍法改正により、戸籍の形式が現在のものに改められたため、それ以前の戸籍は「改製原戸籍」と呼ばれます。改製原戸籍には、当時の家族構成や家族間の関係が記載されています。

編製(へんせい)

編製は、戸籍簿の新たな作成を指します。
「編製」された戸籍は、元々の戸籍が破棄され、新たに戸籍が編成される過程を意味します。この過程では、家庭の状況や新たな出生、婚姻などに基づき戸籍が整理されます。

入籍(にゅうせき)

入籍は、ある人が他の家に正式に籍を入れることを意味します。
婚姻によって配偶者の家に入籍することが最も一般的ですが、養子縁組を行っても入籍とされます。

消除(しょうじょ)

消除は、戸籍から記載事項を消去することを指します。
例えば、養子縁組が解除された場合や、誤って記載された情報が訂正された際に行われる手続きです。

戸主(こしゅ)と戸籍筆頭者(こせきひっとうしゃ)

戸主は、家族を代表する人物で、戸籍における責任者を意味します。
日本の旧民法(明治民法)では、家族の代表として「戸主」が重要な役割を果たしていましたが、現在の民法では、戸主制度は廃止され、戸籍筆頭者という形で引き継がれています。

戸籍筆頭者は、その戸籍の一番初めに記載された人物のことを指し、通常は家族の最年長者(父親など)が該当します。
家系図を作成する際には、筆頭者の名前からその家の家系をたどることが多いです。

家督相続(かとくそうぞく)

家督相続とは、家の代表者(戸主)の地位を相続することです。
家督制度が存在した時代、家の当主は特定の相続人が引き継ぐことになっており、これが家族間で重要な役割を果たしました。


知っておくと便利!家系図づくりの関連用語

家系図を作成する上で、さらに深く理解を助けるために知っておくと便利な用語もあります。

養子縁組(ようしえんぐみ)

養子縁組は、養子を迎えて親子関係を結ぶ手続きを指します。
養子縁組を行うことで、その養子は家系図上で新たな家族として記録され、相続権なども与えられます。

民法817条の2

民法817条の2は、養子縁組に関する法律条文です。
特に、養子縁組による法的効力や、養子が家系に与える影響を示しています。


戸籍用語を理解して家系図作成をもっと簡単に

家系図作成のためには、戸籍にまつわる基本的な用語を理解しておくことが重要です。
戸籍謄本や戸籍抄本などの証明書の種類や、改製原戸籍、養子縁組、家督相続といった歴史的な用語を理解することで、家系図の作成がスムーズに進みます。

家系図を作成する際は、古い戸籍に現れる耳慣れない専門用語に戸惑うこともありますが、それらをしっかりと理解しておくことで、より精度の高い家系図が完成します。
戸籍に関連する知識を身につけ、家族の歴史をしっかりと紐解いていきましょう。